<   2008年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧

■ 塩田千春 精神の呼吸 "CHIHARU SHIOTA / BREATH OF THE SPIRIT" (その2)

(その1)から先にご覧ください。

今回の展覧会には、大きなインスタレーションが3つあります。
ここでは、あと2つのインスタレーションを紹介します。

一般公開の前日に内覧会がありました。この日、作品で使われている20台のベットに、実際に女性たちが3時間以上眠るというパフォーマンスがありました。これは、作品に命を吹き込むようなもので、会期中は人の姿はありませんが、かってそこに人が眠っていたという痕跡を残したのでした。
d0119300_13593557.jpg
↑ 地下2階のエントランス右手に今回の展覧会のタイトルがあり、奥の部屋の中が一転して暗くなっています。
d0119300_13595580.jpg
↑ 《眠っている間に》 (During Sleep)。部屋の中に、かって精神病棟で使われていたという20台のベッドが置かれています。そして、それぞれのベッドには女性たちが眠っています。
d0119300_1401244.jpg
↑ ベッドは黒い毛糸でクモの巣のように覆われていて、ベッドのまわりをめぐれるように、ドーム状の回廊が設けられています。
d0119300_1402478.jpg
↑ 実際にベッドで眠る女性も美術館が募集していました。希望者が多くてすぐに募集が締め切られたそうです。眠っている女性たちも気持ちよさそうです。
d0119300_1403618.jpg
↑ 本当に眠ってしまう人が多く、終了時間に係が起こしてまわっていました。寝ていた人は、毛糸をかいくぐってほふく前進でベッドから脱出していました。毛糸は意外と弾力があるので切れません。
d0119300_1404553.jpg
↑ 寝ていた人が全員退出して、静寂が支配しています。会期中はこの状態で作品を見るようになっています。この作品の制作もたくさんのボランティアの協力があってできたのです。制作期間は10日間、広い空間と、20台のベッドを毛糸で埋めつくす作業は大変だったと思います。
d0119300_1405647.jpg
↑ 枕やシーツなど、ベッドには人が寝ていた痕跡が残っています。黒い毛糸は、眠っている人を守っているまゆのようでもあり、また寝ている人を拘束している役目をしているのかもしれません。見る人にいろいろなイメージを喚起させる作品です。
d0119300_141887.jpg
↑ ベッドの作品の横には、横浜トリエンナーレ2001で見たことのある、超特大の泥のついたドレスが3つ釣り下げられています。
d0119300_141201.jpg
↑ 《After That - 皮膚からの記憶》 (After That - Memory of Skin)。洗っても洗っても消えない皮膚についた記憶を表現した作品です。
d0119300_1413284.jpg
↑ この展示室は、午後のある時間になると、直接日光が差し込みます。今回の展示は水を使っていませんが、泥のついたドレスが光のシャワーを浴びて輝いて見えました。

=data=
*塩田千春 精神の呼吸 "CHIHARU SHIOTA / BREATH OF THE SPIRIT"
2008/07/01--09/15
国立国際美術館(大阪・中之島)/ The National Museum of Art, Osaka
http://www.nmao.go.jp/

*塩田千春ホームページ
http://www.chiharu-shiota.com/jp/

*Kenji Taki Gallery(名古屋)
塩田千春 新作展 
2008/07/19--08/30(会期中、8/10--8/22 夏期休廊)
http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/

最後に、このようなインスタレーションは、会期が終われば跡形もなく、なくなりますが、人々の記憶にずっと残ると思います。塩田千春さんの作品といえば、多くの人が横浜トリエンナーレ2001で見た、泥のついたドレスの作品を思い出すように、今度は国立国際美術館の靴の作品やベッドの作品が、見た人の記憶に上書きされて残るだろうと思います。その意味からもぜひ国立国際美術館にでかけて、塩田千春作品の記憶の上書きをおすすめします。

photo by Akio Arakawa 2008

- - - - - - - - - -
[PR]
by artlover3 | 2008-07-07 16:59 | 現代アート

■ 塩田千春 精神の呼吸 "CHIHARU SHIOTA / BREATH OF THE SPIRIT" (その1)

塩田千春さんは、2007年秋に開催された神奈川県民ホールギャラリーでの「沈黙から」塩田千春展などが評価されて、2007年度の芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞したのでした。塩田千春ファンの私にとっても、とてもうれしいことでした。

その塩田千春さんが、今度は大阪の国立国際美術館で7月1日から9月15日まで「精神の呼吸」というタイトルの個展をしています。作家と美術館から撮影の許可を得ましたので、その一部を紹介します。

写真では伝えきれない、圧倒されるインスタレーションです。ぜひ大阪まで足を運んで見に行ってください。旅費をかけて見に行ったとしても、満足できる展覧会だと確信しています。
d0119300_11441313.jpg
↑ 塩田千春展のポスター。撮影者が写り込んでいます。この展覧会は、高校生以下無料。観覧料は、一般420円、大学生130円です。
d0119300_1145204.jpg
↑ 国立国際美術館では、「モディリアーニ展」が同時開催されています。
d0119300_11454515.jpg
↑ 国立国際美術館の展示室は地下にあります。エスカレーターで下りる途中、このような風景が目に飛び込んできます。これからの展開に期待がふくらみます。
d0119300_11465053.jpg
↑ 《大陸を越えて》 (Over the Continents)。地下2階のエントランスを、靴と赤い毛糸で埋めつくしたインスタレーションです。靴は全部で2135足集まったそうです。
d0119300_1147291.jpg
↑ 左右の靴は別々にされ、それぞれの靴には赤い毛糸が結ばれています。その毛糸は天井近くで折り返されて、また別の靴に結ばれています。
d0119300_11474633.jpg
↑ 靴には、靴の提供者によって書かれたメッセージがつけられています。
d0119300_1148321.jpg
↑ 横から見ると、赤い毛糸が、強い日差しが差し込んでいるように見えます。この作品の制作にはたくさんのボランティアの人たちが協力しています。作家の指示のもと、このように美しく糸を張る作業は大変だったと思います。
d0119300_11482950.jpg
↑ 私も靴を1足提供しました。私の靴には、「塩田千春さんの展覧会を見に、外国にも履いていった靴です」とコメントをつけました。4270個の靴の中から探し出すのは大変でしたが、端からゆっくり見て回ってやっと見つけたときは感激しました。
d0119300_11484861.jpg
↑ コメントのついた靴は、外側に置かれているので読むことができます。作家は、「集まってきた靴には、それぞれの人生がある…」と言っています。その靴を赤い糸で結び作品化しています。美しく見える作品ですが、その内側には、人それぞれの人生が詰まっているのです。
d0119300_1149694.jpg
↑ この靴は、亡くなった両親の靴だそうです。なかなか処分できなかった靴を、この展覧会に提供することで、思い出にすることができたということです。

=data=
*塩田千春 精神の呼吸 "CHIHARU SHIOTA / BREATH OF THE SPIRIT"
2008/07/01--09/15
国立国際美術館(大阪・中之島)/ The National Museum of Art, Osaka
http://www.nmao.go.jp/

*靴を提供した方々への塩田千春さんからのメッセージ

*塩田千春ホームページ
http://www.chiharu-shiota.com/jp/

*Kenji Taki Gallery(名古屋)
塩田千春 新作展 
2008/07/19--08/30(会期中、8/10--8/22 夏期休廊)
http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/

photo by Akio Arakawa 2008

(その2)に続きます。
- - - - - - - - - -
[PR]
by artlover3 | 2008-07-07 13:52 | 現代アート