■ 塩田千春 精神の呼吸 "CHIHARU SHIOTA / BREATH OF THE SPIRIT" (その2)

(その1)から先にご覧ください。

今回の展覧会には、大きなインスタレーションが3つあります。
ここでは、あと2つのインスタレーションを紹介します。

一般公開の前日に内覧会がありました。この日、作品で使われている20台のベットに、実際に女性たちが3時間以上眠るというパフォーマンスがありました。これは、作品に命を吹き込むようなもので、会期中は人の姿はありませんが、かってそこに人が眠っていたという痕跡を残したのでした。
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↑ 地下2階のエントランス右手に今回の展覧会のタイトルがあり、奥の部屋の中が一転して暗くなっています。
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↑ 《眠っている間に》 (During Sleep)。部屋の中に、かって精神病棟で使われていたという20台のベッドが置かれています。そして、それぞれのベッドには女性たちが眠っています。
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↑ ベッドは黒い毛糸でクモの巣のように覆われていて、ベッドのまわりをめぐれるように、ドーム状の回廊が設けられています。
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↑ 実際にベッドで眠る女性も美術館が募集していました。希望者が多くてすぐに募集が締め切られたそうです。眠っている女性たちも気持ちよさそうです。
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↑ 本当に眠ってしまう人が多く、終了時間に係が起こしてまわっていました。寝ていた人は、毛糸をかいくぐってほふく前進でベッドから脱出していました。毛糸は意外と弾力があるので切れません。
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↑ 寝ていた人が全員退出して、静寂が支配しています。会期中はこの状態で作品を見るようになっています。この作品の制作もたくさんのボランティアの協力があってできたのです。制作期間は10日間、広い空間と、20台のベッドを毛糸で埋めつくす作業は大変だったと思います。
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↑ 枕やシーツなど、ベッドには人が寝ていた痕跡が残っています。黒い毛糸は、眠っている人を守っているまゆのようでもあり、また寝ている人を拘束している役目をしているのかもしれません。見る人にいろいろなイメージを喚起させる作品です。
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↑ ベッドの作品の横には、横浜トリエンナーレ2001で見たことのある、超特大の泥のついたドレスが3つ釣り下げられています。
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↑ 《After That - 皮膚からの記憶》 (After That - Memory of Skin)。洗っても洗っても消えない皮膚についた記憶を表現した作品です。
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↑ この展示室は、午後のある時間になると、直接日光が差し込みます。今回の展示は水を使っていませんが、泥のついたドレスが光のシャワーを浴びて輝いて見えました。

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*塩田千春 精神の呼吸 "CHIHARU SHIOTA / BREATH OF THE SPIRIT"
2008/07/01--09/15
国立国際美術館(大阪・中之島)/ The National Museum of Art, Osaka
http://www.nmao.go.jp/

*塩田千春ホームページ
http://www.chiharu-shiota.com/jp/

*Kenji Taki Gallery(名古屋)
塩田千春 新作展 
2008/07/19--08/30(会期中、8/10--8/22 夏期休廊)
http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/

最後に、このようなインスタレーションは、会期が終われば跡形もなく、なくなりますが、人々の記憶にずっと残ると思います。塩田千春さんの作品といえば、多くの人が横浜トリエンナーレ2001で見た、泥のついたドレスの作品を思い出すように、今度は国立国際美術館の靴の作品やベッドの作品が、見た人の記憶に上書きされて残るだろうと思います。その意味からもぜひ国立国際美術館にでかけて、塩田千春作品の記憶の上書きをおすすめします。

photo by Akio Arakawa 2008

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by artlover3 | 2008-07-07 16:59 | 現代アート


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